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車いすの車軸の構造とメンテナンス

 車椅子の車としての部分と 椅子としての部分を繋ぐ部品「車軸」

 

椅子からの荷重(力や重さ)をタイヤに伝えるため支えとなっている重要な部分です

 

ただ、メンテナンスは?? となると少々敬遠されてしまうところなんでしょうか

 

取り扱い説明書を見ても「タイヤが正常に回転するか点検する(横ブレや回転がスムーズか)」 この位の説明で記載されいます

 

”異常がある場合は販売店にご連絡してください”

そう、異常が起きてから対応する事がほとんで最悪は車軸が折れて車輪が脱落する事も考えられます

 

異常が起きた場合の適切な整備は車輪ごと交換する事、そうなると費用と部品手配の時間がかかってしまいます

 

せっかく点検しているのにそうなる前、そうならないように出来る事はないのだろうかと思い

 

車軸のメンテナンスの必要性について私が分かる限りで説明したいと思います

 

構造は車種によって違いがあるのでご了承ください

 

 

車軸の構造

構造はいたってシンプルで

 

軸となる一本の鉄棒(シャフト)

 

そしてタイヤがスムーズに回転するためのベアリング(ローラー)

 

これを収納するためのケースで構成され

 

ローラーがスムーズに回る様に中にはグリス(クリーム状の油)が入っています

 

この部分の事を通称「ハブ」と呼びます

 

 

簡単なイラストにするとこのようになっています

 

鉄球は常に油で潤滑されいるのでスムーズに回る事が出来ます、しかしそこは密閉されいません

 

なので使用過程で少しづつ油が流れ出し少なくなり、塵や髪の毛糸くず削れた鉄粉などが混ざり込みグリスは真っ黒に劣化し、油としての役割を

 

果たさなくなってきます

 

そうなると鉄球とケースの当たり面が直接擦れ合い摩耗し、隙間ができる為、がたつきが発生

 

 

 

 

そしてここが一番の問題

 

この状態でもスムーズに回転します、

 

中のグリスも適度に減り鉄球に若干隙間ができる為タイヤを浮かせて回すと 軽く回ります

 

ハブを分解しないと中が見えないので通常の点検では、正常と判断してしまう可能性があり

 

そして徐々に劣化が進み ある日突然異常が発生します

 

 

 

 

 

こうなる前に防ぐには2・3年に一度、販売店や車いす安全整備士などにメンテナンスをしてもらう事をお勧めいたします

 

宿泊施設やその他の観光施設などで備品として置いてあるものも、3年または5年に一度なり 各施設で計画を立て

 

管理していく必要があるのではないでしょうか。

 

最後に注意として

 

55-6というスプレータイプの油があります

 

動きが悪い時にシュッと一吹き とても便利な物です ただ、このハブには使わないでください!!

 

タイヤの回転を軽くしようと吹き付けると、その時はいいかもしれません

 

後に、中のグリスが溶けて柔らかくなり流れ出してしまい、潤滑出来なくなりベアリングを痛めてしまいます

 

ご注意ください。